セラピスト8月号では、「アーユルヴェーダが教えてくれる_セラピストとクライアント相性ピッタリの接客術」の記事を紹介しています。アーユルヴェーダというと、少しエキゾチックで、難しそうなイメージを持つ方もいるかもしれません。5000年も前から存在する伝統的な教えですが、アーユルヴェーダの知恵は“特別なこと”ではなく、もっとシンプルで私たちの“身近にあるもの”だと教えてくれます。
セラピスト8月号で紹介した、「セラピストとクライアントのための接客術」では、アーユルヴェーダの第一人者である西川眞知子さんに解説していただきましたが、今回、セラピスト誌では紹介し切れなかったアーユルヴェーダの魅力を紹介します。自分自身のケアやお客さまへのご提案の際に役立ててみてください。
構成◎本誌編集部
1. アーユルヴェーダとは?
アーユルヴェーダとは、WHO(世界保健機関)が認める予防医学で、「生命の科学」と訳されます。インドから伝わりスリランカをはじめ、世界に広がった5000年もの歴史がある“世界最古の伝統医学”とも言われています。そして、アーユルヴェーダを語る上で欠かせないのが、5つの性質(5元素)と3つの特徴(トリドーシャ)です。
5つの性質(5元素)と3つの特徴(トリドーシャ)について
アーユルヴェーダでは、存在するもの全てが、5つのエネルギーで構成されていると考えます。この5つのエネルギーというのが、「空」「風」「火」「水」「地」。それぞれ性質が異なり、私たちの心や身体に影響を与えています。さらに、この5元素を2つずつの組み合わせにし、3つの特徴に分けたものが、トリドーシャと言われるもの。
1つ目が「空」「風」の組み合わせでヴァータ。2つ目は、「火」「水」の組み合わせでピッタ。最後は「水」「地」の組み合わせで、カパとなります。 それぞれどんな特徴があり、どんな性質を持っているのでしょうか。ここでは、ヴァータをさっぱりさん、ピッタをがっつりさん。そして、カパをおっとりさんと言い換え、説明していきます。
2. 自分の傾向を知ろう!
私たちには皆、5つのエネルギーが備わっており、そのパーセンテージの違いが、その人の傾向や個性だと考えます。まずはじめに、自分自身が持つ、傾向や個性について見ていきましょう。
以下の当てはまる項目にチェックを入れて、最も多かったのがあなたの傾向です。
3. 3つのドーシャから分かる! 自分自身の特徴と傾向
2. であなたのタイプが判明したら、自分の特徴や傾向、不調を感じた時のケアを紹介します。あなたの生活に取り入れられそうなものから、少しずつ実践していってくださいね。
自由な心と直感力を活かせるさっぱりさん
さっぱりさんは、風のように自由で行動的。自由な発想力と生まれ持った直感力で、自由自在に動き回ります。ですが、乾燥したものを食べたり、動き回り過ぎたりして、「風」の性質をが高まると、身体にも不調を感じやすくなります。視線がキョロキョロしたり、肌が乾燥しがちな時は、サインが現れた証拠。心と身体のバランスを整えることが必要です。
直感的 / 活発
風の要素が強まり「冷えや乾燥」など不調を感じた時は……
「風」の要素が強くなっていると、心にスーッと冷たい風が吹いたかのように相手に対して素っ気なく、ぶっきらぼうな対応になりがちです。どんな時もスピード感を持って行動することは大切ですが、時にはゆっくり深呼吸して、心に穏やかな風を吹かせてみましょう。
落ち着きがない / 焦り
ホームケア バタバタした心に静けさを……
アロマ:フランキンセンス、ベチバー、ビャクダン、オレンジ、ネロリ
手技:オイルをたっぷり使ったエフルラージュ、しっかりと体重をかけた重みのある施術
情熱的で勇敢な心を持っているがっつりさん
火が下から上へ燃え上がる性質があるように、エネルギーに溢れているがっつりさん。どんな物事も情熱を持って、勇敢に突き進みます。ですが、「火」の性質が高まると、イライラや嫉妬の感情が沸き起こります。目標に向かって突き進むエネルギーも大切ですが、時には少し距離を置いてみることも大切かもしれません。
怒り / 目標達成 / 正確さ / 勇敢
火の要素が強まり「火照りや炎症」など不調を感じた時は……
身体が火照ったり、湿疹や炎症などが増えてきたと感じる時は、「火」の要素が強まっているサイン。身体に熱がこもるため、人に対しても攻撃的になりやすくなります。目標を達成するための力強いエネルギーも大切ですが、時には心にスペースを作り、ゆったりのんびり過ごしてみてください。
ホームケア リラックスできる時間をつくって、心穏やかに
アロマ:ローマンカモミール、ラベンダー、レモングラス、イランイラン、スペアミント
手技:マイルドなタッチ、ロミロミのように流れるタッチ
穏やさと思いやりに溢れているおっとりさん
水のようにしなやかに柔らかな性質を持つおっとりさんは、優しく思いやりがあるのが特徴的。どんな人に対してもあたたかな心で接するのは大切ですが、人のペースに合わせ過ぎて疲れやすくなってしまうかもしれません。だるさや憂鬱な気分を感じやすい時は、自分の内側に意識を向けて、バランスをとることが大切です。
思いやり / 落ち着き / 保守的
地の要素が強まり「だるさやむくみ」など不調を感じた時は……
身体にだるさや重たさを感じる時は、「地」の要素が強くなっている証拠。鼻炎が続いたり、むくみを感じやすくなります。何かを大切に抱えておくことは大切なことですが、溜め込み過ぎてしまうと、心も保守的になってしまうでしょう。時には、さらっとした心で、物事と向き合ってみるといいかもしれません。
ホームケア 心のモヤモヤを開放し、自信を取り戻そう
アロマ:ジュニパー、サイプレス、ユーカリ、ティートリー、ローズマリー
手技:ショートストロークにタッピングでメリハリを出したタッチ
プロフィール
西川眞知子さんアーユルヴェーダライフデザインスクール代表。日本ナチュラルヒーリングセンター代表。(社)日本パステルシャインアート協会副代表。アーユルヴェーダ体質別健康美容法と独自な簡単生活習慣改善プログラムを構築し、講演、指導および健康美容のコンサルティングや商品開発を数多く手がける。アーユルヴェーダやヨーガ、自然療法に関する著書は40冊以上。