ビオダンサ座談会〜5つのラインで育むポテンシャル〜

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セラピスト10月号の特集では「ムーブメント系ホディワーク」を取り上げました。

そのうちのひとつ「ビオダンサ」では、雑誌の発売後、ファシリテーターの久保隆司さんと参加者の皆さんとのオンライン座談会が行われ編集部Mも参加させていただきました。そこでは雑誌に掲載した内容のさらに先のお話を伺うことができました。座談会の内容を一部抜粋、編集してご紹介いたします。

 

ビオダンサとは

南米発祥のダンス・ムーブメントのボディワーク。スペイン語で「生命のダンス」を意味し、「音楽」「ダンス(ムーブメント)」「交流(グループ/人とのつながり・安全な空間)」を特徴とします。リズミカルな音楽とともに1人で自由に踊るワークから、2人で踊るパート、3人〜大勢で踊るパートでアクティブに身体を動かした後、メロディー調の音楽とともにゆったりとした動きをするパートという流れで進行します。言葉を使わずに、アイコンタクトなどのボディランゲージで意思疎通をすることで、身体だけでなく、感情(エモーション)と心(マインド)に働きかけます。

 

《ZOOM座談会 主な参加者》
・久保隆司先生…「ビオダンサ」をサンフランシスコで学び認定ファシリテーターとして東京・高円寺と大阪でクラスを運営。
・びーちゃん…1年前にビオダンサに衝撃を受け、定期的に参加中。普段は対人関係の仕事。この座談会の進行役。
・ゆきえさん…ビオダンサを始めて10年以上。自身もファシリテーターとしてクラスを運営。
・まきこさん…同じく1年前にビオダンサに衝撃を受け、定期的に参加中。普段は会社経営の仕事。
・編集M…「ボディワーク」特集で、「ビオダンサ」を担当。今回、取材もかねてクラスに参加させていただきました!

 

びーちゃん 普段はビオダンサの講師を務めているゆきえさんは、ビオダンサについてどう感じられていますか?

ゆきえさん 「本来の自分を取り戻す」ワークだと思っています。生徒さんも硬かった表現が自然になっていったり、元々自分のことをあまり話さなかった方がシェアしてくれるようになったり変化がありました。また、初めて来た方でも大きな解放を感じて涙する方もいます。

久保先生 ゆきえさんがお話された通り、ビオダンサでは私たち皆それぞれに本来ある5つのポテンシャルがあると考えます。ビオダンサではそれを「ライン」と呼んでいて、ワークを通じてバランス良く育てていくことを目的としています。

 

ビオダンサの5つのラインとは?

・生命力 Vitality(バイタリティ) … 活動と休息のバランス
・創造性 Creativity(クリエイティビティ) … 自分の人生を創造する
・セクシャリティ Sexuality (セクシャリティ) … 心地良さを受け取る
・情愛 Affectivity (アフェクティビティ) … 人との繋がりを深める
・超越性 Transcendence(トランセンデンス) … より大きなものとの繋がり

ビオダンサの5つのライン(出典:日本ビオダンサ・ファシリテーター協会)

ビオダンサの5つのライン(出典:日本ビオダンサ・ファシリテーター協会)

 

 

編集M 私は取材の際にクラスに参加した時に感じましたが、ビオダンサでの「グループ・交流」は大きな特徴のように思います。他のボディワークでは他の人と接触しないものが多い中で、目を合わせて手を取り合い何か一緒にワークすることなどがとても新鮮でした。

久保先生 ボディワークは、自分の中にある情動、アウェアネス(気づき)を大切にします。多くのボディワークでは、〝自分で気づく〟ために一人称をメインとして、1人で行うことが多いですね。また、西洋的アボディワークは、客観的な三人称のアプローチが多い。一方、「あなた」という二人称は見過ごされやすいんです。人はもともと「ケアされる」ことが前提の社会的動物なので、二人称における〝適度な愛情〟が必要で大切なのです。その点、ビオダンサは、一人称から二人称、三人称のワークを一通り行い、それらの体験が凝縮されています。

まきこさん 〝凝縮した体験〟と言われたように、ビオダンサでは短い時間の間に初対面の方とも、もっとも大切なものを差し出し交換し合えることがとてもダイナミックと感じるし、日常の場では家族でも起こっていないことが体感できて、とても興味深く思っています。こうした〝エネルギーの交換〟は、これまでは何かやってはいけないもののように思っていましたが、それがビオダンサで解放できたように感じました。

人称タイプ別で考えるボディワーク

・1人称のワーク … 自分で気づくためのワーク
・2人称のワーク … ペアで行うことで自分と「あなた」を意識して行うワーク
・3人称のワーク … 3人以上の大勢で行うワーク

ゆきえさん 私は、ビオダンサの特徴は「アフェクティビティ」であるように感じます。「情愛」があるから初対面の方がいても皆さん安心できて、安心するから先に進める、そして自分をより開放できるのだと思います。逆に苦手と思う方もいるので、そうした方にはハードルが高いかもしれませんが…。

びーちゃん 私も「アフェクティビティ」が特徴的だととても感じています。ビオダンサでは言葉を介さずに一緒にワークをするという特別な非日常の場があることで、人と手と手を取りあいながら生きていける本来のつながりを思い出せる時間になります。私の場合は、「アフェクティビティ」が太いラインで、「バイタリティ」と「クリエイティビティ」が大きいように思います。

久保先生 人によってどのラインが得意・不得意かはさまざまです。自分の得意・不得意を意識しながら、苦手な部分は〝種を育てる〟ように強めていけばいいと思います。ポジティブな体験を繰り返し行うことで、そうしたシナプス(思考回路)を強化することができます。お互いに学び合い受け止めながら、つながりを通じて伸ばしていく、ビオダンサはそういう場になれればと思います。

講師プロフィール

久保隆司
(IBFed)認定ファシリテーター。 臨床心理士・公認心理師、日本人 初のローゼンメソッド認定ボディ ワーカーでもある。2002年に米 国大学院に留学し、帰国後、日本 に「ソマティック」を体系的に紹介 した第一人者。ソマティック・リソ ース・ラボ主宰。著書に『ソマティ ック心理学』(春秋社)など多数。

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