現在発売中の「セラピスト12月号」で、「看取りのケア」を行う真謝清美(まじゃきよみ)さんを取材しました。
真謝さんは、看護師のキャリアを経て、15年前に神奈川県川崎市で在宅介護の会社を起こします。
以来、約200名の死を看取り、延べ600名以上の家族と看取りの場面を共有してきました。
「老木が自然に枯れていくように、在宅で自然な最期が迎えられるケアを提供したい」
これは、取材の際に真謝さんが語った、印象的な言葉の一つです。
真謝さんが小さい頃は、家族が自宅で亡くなるのが普通で、ホームドクターが死亡診断を告げると、皆で亡くなった人の身体を拭いてあげたりしていたそうです。
祖父母が死に至るまでの生活を同じ家の中で共に見てきたので、死に対する怖れはなかったのです。
それがいつからか、身内が病院の中で息を引き取るようになり、死が特別になっていったと言います。
だからこそ、「老木が自然に枯れていくように…」という言葉には、深い意味があるのです。
私事ですが、今年の初めに父を亡くしました。
「老木が自然に枯れていくように…」という訳にはいかず、入院中は、身体のあちらこちらを管でつながれ、痛みに苦しむ姿を何度も見てきました。
それが父の最期の姿であったため、父の印象の大部分を占めているように思ってしまう時がありました。
それでも父とのことを振り返ってみると、楽しい思い出や尊敬できる出来事が数えきれないほどありました。
そしてそれこそが、父の本当の姿なのだと思っています。
看取りのケアは、医療従事者やセラピストはもちろんですが、あらゆる人にとって、自分自身と向き合い、家族のことや人生について深く考えさせてくれる機会になるでしょう。
編集部I