セラピスト誌の取材をしていると、看護や介護ケアにアロマテラピーを活用できる環境は、まだそれほど整っていないと感じることがあります。
薬事法や医師法の関係で、セラピストが治療行為として行えないことが、要因の1つと言えるでしょう。
しかしながら、その効果(医療的効果以外のもの)は様々報告されており、セラピストの存在意義は確実に大きくなっています。
セラピスト6月号(5月7日発売)では、「訪問アロマTERASAWA」の、寺澤久江さんによる、訪問看護にアロマを取り入れた活動の様子をレポートしています。
寺澤さんは、あることをきっかけに、かつて勤務していた訪問看護ステーションにおいて、准看護師としてアロマを使い始めます。
記事では、様々な患者さんとの物語を紹介していますが、ほとんどの患者さんがアロマケア初体験であり、ケア後には表情や雰囲気が変わっていったそうです。
「患者さんが笑顔になる香りの選択を、常に心がけていました」(寺澤さん)
認知症や糖尿病など、患者さんの症状は様々ですが、寺澤さんのアロマケアにより表情が和らぎ、饒舌になり、次の機会にもアロマケアを求めるようになりました。
食事や血糖値のことなど、あまり話したがらなかった生活習慣のことまで話してくれるようになったのです。
さらに大切なことは、寺澤さんの持つ雰囲気や人柄、接し方が、患者さんの心をほぐしていったということ。
医療や介護の場に、セラピストが求められていることは確かです。
でも、その理由がまだ多くの人たちに、伝わっていないのではないでしょうか?
看護や介護ケアにアロマテラピーを活用できる環境が、それほど多くはない理由は、そこにあるのかもしれません。
アロマの香りやセラピストの人柄は、患者さんの心をほぐし、QOL(クオリティ オブ ライフ=生活の質)の向上につながってゆく。
このような実際に起きているストーリーを、これからも取材し伝えていこうと思っています。
編集部I