セラピスト誌の取材で、様々なセラピストたちに会って話を聞いていると、何を一番大事にして仕事をしているのかが、ひしひしと伝わってくる瞬間があります。
2011年に「floweryroom 」をオープンししたアロマ福祉士の室橋恵さんは、社会福祉士の経験とアロマセラピーの特長を十分に活用しながら、セラピーだけでなくワークショップやセミナーを定期的に開催しています。
セラピールームを訪れたお客さまがワークショップに参加することも多いのですが、どのような機会であれ、1人ひとりのお客さま、あるいは参加者に対して自身が学び経験した知識と技術をフル活用して向き合っています。
1人を相手にするセラピーでも、複数の人たちに相対するセミナーやワークショップであっても、室橋さんの根本には、「その人の人生をより豊かにするためには、どうすれば良いのか?」という想いがあるようです。
室橋さんはサロンを開業する前に、企業家たちに話を聞くために全国を行脚したそうです。
そこで、企業家たちが歩んできた壮大な物語と哲学に触ることになります。
そして、その過程で皆が持つ、ある共通項に気づいていきます。
それは、「自分が心底、納得した物だけを提供している」ということ。
これは、室橋さんがセラピストとして活動していく上での指針となり、また自分の考え方が正しかったと確信できる大きな出来事でした。
当時を振り返り、室橋さんは言います。
「サロンを運営していく上で、集客や宣伝の仕方など様々な方法を学ぶ必要があります。でも、いくら小手先のテクニックだけを学んでも、お客さまに見破られてしまいます。それよりも、自分自身のスタンスがしっかりしてさえいれば、きっと大丈夫なのです」
独立開業をするセラピストは、まだまだ増えていますが、セラピスト1人ひとりが、何を信じ誰のことを真に思って仕事をしているのかが問われているようです。
室橋さんがお客さまやワークショップの参加者たちと向き合う姿勢を窺っていると、何を一番大事にして仕事をしているのかが、ひしひしと伝わってきます。
稲村