これまで、数多くの治療家やセラピスト、心理カウンセラーたちを取材してきました。
彼ら彼女たちのクライアントは、そのほとんどが〝人間〟でした。
ところが先日、訪れた取材場所は、サロンでも治療院でもありません。
茨城県稲敷郡美浦村にある「美浦トレーニング・センター」でした。
そうです、競馬ファンには馴染み深い関東地区最大の、競走馬のトレーニング・センターです。
つまり、今回取材した治療家のクライアントは、〝馬〟なのです。
治療家の名前は、〝人と馬の整体師〟馬屋原孝惠さん。
1995年に千葉県船橋市に、人の治療院である「聖心堂治療院」を開業し、2001年から馬の整体を始めます。
現在は人の治療と並行して、週に二日、美浦トレーニング・センターで馬の整体を行っています。
「セラピスト8月号」(7月7日発売)では、そのドキュメント記事を掲載しますが、ここでは治療の様子を写真でお伝えします。
人と馬は同じ脊椎動物であるため、身体の構造が似ているそうです。
そして身体の構造だけでなく、馬の感情表現もまた、人間同様に豊かだと言います。
言葉が通じないからといって、決して心が通わないわけではないのです。
馬屋原さんは、
「馬は〝ごめんなさい〟〝ありがとう〟が分かるんですよ」
「他の馬に優しくしていると、嫉妬します」
と言います。
施術中、馬屋原さんは絶えず馬に話しかけ、しっかりアンテナを立てて馬の〝心の声〟に耳を傾けていました。
それは、クライアントが人でも馬であっても変わらない、治療家としてのあるべき姿でした。
稲村