世の中には、〝似て非なるもの〟がたくさんあります。
例えば、〝ヒラメとカレイ〟に代表される動物、あるいは花や草木のように品種が多いものが挙げられます。
身近な例では、ウインナーとソーセージのように、普段目にする機会が多いけれど、特別両者の違いを意識していないケースもあります。
完全に〝非なる〟というわけではないのですが、セラピストとエステティシャンも、似ているようでいて、決して同じではない職種といえるでしょう。
でも実際には、業界関係者から「セラピストとエステティシャンって、どう違うんですか?」と聞かれるケースが少なくありません。
お客さまの施術目的で言えば、セラピーはリラクゼーションや癒しが中心であり、エステティックは美容が第一。
一昔前に比べれば、同じようなメニュー展開を行うサロンも増えてきましたが、根本的な施術目的は異なります(ただし、決して表面的な美容ではなく、健康を土台にして美しくするエステティシャンもいらっしゃいます)。
セラピストやエステティシャンになる過程にも大きな違いがあります。
セラピストの場合、自身がお客としてセラピーに癒され、今度はその技術を習得して大勢の人たちを癒してあげたい、悩みを解決してあげたい、と思う方が多いようです(違う過程を経ている人も大勢いらっしゃいます)。
そのため、ビジネスマインドはやや希薄ですが、優れたホスピタリティマインドを持っており、セラピストの存在自体に癒されます。
また、一生の〝ライフワーク〟として、その仕事に向き合う方が、たくさんいらっしゃいます。
一方、エステティシャンの場合は、専門学校で職業教育を受けてから職に就き、サロン勤務後も上司や先輩にビジネスのイロハを教育され、物販にも積極的に関わります。
あまりにも営業色が強すぎるとお客さまに敬遠されてしまいますが、毎回、結果にこだわる施術に注力し、開業後はビジネスマインドをしっかり持ち合わせたサロン展開が出来る傾向があります。
もちろん全てのサロンを、完全に上記のように分けることが出来ませんが、あえて分かりやすく分けるとすれば、以上のような違いが見られます。
ただしかし、お客さまの立場からすれば、施してもらうことに対して〝あまり大きな差がない〟といいますか、極端に言えば〝差があっては困る〟と思っている方が多いようです。
つまり、美容もセラピーも、お顔も身体もメンタルも、〝信頼できる同じ人に見て欲しいし、ケアして欲しい〟と思っているのではないでしょうか。
そうしたニーズを捉えた結果が、近年のセラピーもエステティックもできる技術者を目指す傾向に表れているのでしょう。
美も癒しも健康も、そして集客や経営も、しっかりできるようになるために、セラピストもエステティシャンも日夜、勉強をし続けているのです。
稲村