特別インタビューVol.1 「思考のクセを書き換える! エステ内 心療内科医 松薗理英子さん」

投稿日:2019年7月30日

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第一回目は、表参道のエステサロン内で心療内科・精神科医として活躍する松薗理英子さん。都内病院勤務を経て、”思考のクセ”と”今、ここ”を意識して生きる大切さを実感した松薗さんに、知らず知らずのうちに染み付いている考え方のクセやパターンを書き換えることの重要さを教えてもらいます。
“今、ここ”に意識が集中できているか分かるセルフ診断もチェックしてみて下さい!

取材◎本誌編集部


松薗理英子(まつぞのりえこ)
複数の病院で精神医学の臨床経験を積む。薬物療法のみならず、漢方、バッチフラワー、認知行動療法、リラクゼーション、マインドフルネスなどの各種療法および統合医療を学ぶ。「病気がない状態」という健康感にとどまらず、すべての面で調和が取れ環境になじみ幸せを感じられ、ありのままの自分でいられることがゴールという考えに基づいて、治療やセルフケアの指導を実践している。
Aglaia SUNctuary Clinic http://aglaiasaly.com/ TEL03-3402-3442

「これが起きたら、こうなるに違いない」。こうした思い込みをつくっているのは自分自身

Q.エステサロンの中に心療内科・精神科があるって、まだめずらしいと思うんです。そのきっかけは何ですか?

サロン内で開業する前に、複数の病院で15年以上、精神科医として勤めましたが、うつ病・不安障害・パニック障害などたくさんの患者さんに接する中で、「もう少し長くお話しする時間があれば…」と思うような場面がたくさんありました。医者も出来る限り患者さんに長くお話しを伺いたいと思っていますが、予約状況の都合などでどうしても出来ないことがあります。次第に、お薬以外で身体に負担のかからないアプローチ方法はないか?と考え始め、ヒーリングなどを習う過程で現在務めるエステサロン『アグライア・サンクチュアリ・クリニック』のオーナーエステティシャンの鈴木サリに出会いました。

「何だか元気が出なくて、どうしたら良いか分からないけど心療内科に行くのは気が引けるし…」と考えるお客さまでも、エステサロンの中にクリニックがあれば気軽に来れるし、エステで美を叶えるのも心と身体の健康があってこそ。考え方が意気投合し、2013年の5月からエステサロン内にクリニックをオープンしたんです。

Q.長いご経験からみて、”心に元気がなくなる”原因は何だと思いますか?

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“これ”というひとつの原因はないと思います。色々なことが複合した結果だと思いますが、今までの経験からみて”思考のクセ”と”今、ここ”を感じれているかどうかが重要ではないかと感じています。

“思考のクセ”とは文字通り考え方のクセで、ご自身の物事の捉え方。恋愛で例えると、大好きな彼に振られてしまったとします。その時、心の中で「あぁ、まただ。やっぱり私はいつも振られてしまう」と「やっぱり」「いつも」などとパターン化して考えたり、仕事でうまく物事がいかない時に「嫌なことは全部私にまわってくる。あの人は、私のことが嫌いなんだ」と決めつけてしまったり。”これが起きた時は、こうに違いない”と無意識に思考が決めつけていることです。

“今、ここ”とは、まさに”今”を感じて過ごしているかどうか。人は、過去に思いを馳せ「あの時こうしていれば良かった」と囚われ、「未来はこんな怖いことが起こるに違いない」と不安になります。これは、”今”を感じれていないことと同じです。私たちが生きているのは、”今この瞬間”なのに、意識は過去や未来をさまよっています。

このように、ご自身や育ってきた環境でがんじがらめになった”思考のクセ”と、過去に囚われ未来を不安がる要素が大きくなり”今”が感じられなくなると、心と身体のバランスを崩すことに繋がるのではないか、と感じています。

感情に飲み込まれてしまうのではなく、一歩引いて感情を見てみる。

Q.自分でもそんな思考パターンのクセがあるなんて気づいていないことがほとんどですよね。クリニックでは、どのようなアプローチをされているのでしょうか。

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クライアントとお話をしていく中で、その方の話し方や思考のクセを探っていく「Here and Now Treatment」を行っています。これは、自分自身の考え方・思いという認知が、ネガティブ感情を引き起こしていると仮定し、その認知のクセに気づき、それをポジティブなものに書き換えていくという”認知療法”にヒーリングトリートメントを取り入れたものです。

その他にも、体質からその方の行動や考え方のパターンを分析する「体質・気質からみた統合医療カウンセリング」や、今ここに存在していることが実感しやすくなる「グラウンディングワーク」、また、漢方やプラセンタ注射なども行っています。

心と身体は繋がっていますから、心に元気がない時は、トリートメントやヒーリング、漢方や注射などで身体からのアプローチをしてあげることもとっても大事ですし、有効だと思います。

Q.”考え方”は性格ではないのですか?性格を変えるのは難しいような気がしますが……。

「考え方」と「性格」は決してイコールではありませんし、両方とも変えるのが難しいものでもありません。本質を変えることは難しいかもしれませんが、「考え方」も「性格」も後からつくられた部分が大きいのです。それに、無理に変える必要はありません。ただ、何だかうまくいってなかったり、現状でつらいことがあるなら、その状況が少しでも良くなるように「心が楽しくなる方を選ぶ」ことは大切だと思います。その結果、物事の捉え方が変わり、心身が喜ぶ「今」を体感できるようになるのではないでしょうか。

ただポジティブに考えろ、ということではありません。自分にとって嫌なこと、悲しいことが起きたら、その感情に飲み込まれてしまうのではなく、一歩引いて感情を見てみる。「私、今、怒っているな」「悲しくて悲しくて仕方ない」「しんどい、つらい」「羨ましい」etc。自分でも認めたくない嫌な感情が出てくるかもしれませんが、その感情ごと、まるまる自分を受け入れてあげてみてください。

あるがままの自分を受け入れることは、自分を知ること、自分を愛することに繋がります。湧き上がる感情に良い・悪いもありませんから。こうして客観的に感情を見れるようになると、冷静に判断が出来るようになってきます。「もしかして、違う方法でやったらうまくいくかもしれない」「あれ? 私の思い込みかもしれないな」と、ポジティブな思考を選択することが出来るようになってきますよ。

Q.最後に、読者にメッセージをお願いします!

人は、幸せになるために生きています。みんなと同じ「道」から一見それてしまったようにみえても、大丈夫。たくさんの選択肢がある、ということをご自身に伝え、許してあげてください。回り道をして、最終的に自分の行きたかったゴールに辿りつくことだってあります。「失敗だった」と思うようなことでも、必ず「幸せ」に繋がっていますから!

つらい時は我慢せず、ぜひご相談にいらっしゃってくださいね。


今日から実践できる!
おすすめセルフトリートメント

松薗さんがおすすめするセルフケアの方法は、「呼吸法」。不安や緊張を感じた時や、ネガティブな感情に飲まれそうな時に行うと、心が安定してきます。呼吸は自律神経をコントロールできる唯一の方法。リラックスできる副交感神経が優位になる呼吸法なので、寝る前にもおすすめです。

HOW TO
1.前歯の裏に舌先をつけます。
2.肺の中の空気を出し切りましょう。
3.リラックスして、鼻から空気を4秒かけて吸い込みます。
4.呼吸を7秒止めます。
5.口から8秒かけて空気を出し切ります。

これを4セット行ってください。1日に2回ほど行うと、身体の巡りが良くなり、心身がゆるんでくるのを感じるはずです。

今すぐチェック!「今、ここ」を感じているかが分かるセルフ診断

過去でも未来でもなく、「今、ここ」を感じて過ごせているか診断してみましょう。
診断項目に思い当たるものに、チェックを入れてみてください。

 

合計

診断結果

8~10 「今、ここ」に集中できています。今のまま、自分らしく生きることを楽しんでください。
5~7  ほぼ、「今、ここ」を生きることが出来ています。時々肩の力を抜いて集中し直すとますますHAPPYに。
3~4 「~べき」などの義務感や過去・未来のことなどに囚われがち。もう少し「今」を楽しんで。
0~2  思考に囚われすぎて、「今、ここ」への集中が困難に。つらければ、専門家に相談することをおすすめします。

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