2020年10月31日~11月2日、オランダのクリニカルアロマセラピーの第一人者のマデレイン・ケルホフ氏による「医療現場で行うクリニカルアロマセラピー」セミナーが、自然療法の国際総合学院IMSIの主催で開催された。オンラインでの受講形式となり、全国からセラピスト、看護師など55名が参加した。
オランダでは、医療において「患者の意思を尊重すること」が大切だとされており、アロマセラピーはQOL向上に欠かせない補完療法として役立てられている。このセミナーでは、認知症、がん、ターミナルケアの領域についてマデレイン氏が20年以上に渡り実績を積んできたアロマセラピーが伝授された。
認知症ケアでは、本人にとっての思い出の香りを使用する。ラベンダートゥルーを使うことで、実家の庭を思い出したり、シナモンを使うことで家庭料理を思い出したりする人もいる。日本人には、柚子、ヒノキ、モミなど和精油を試すことが勧められる。
がんケアにおいては、治療の副作用の緩和においてアロマセラピーが活躍。吐き気には精油の吸入が効果を挙げており、化学療法の副作用による脱毛はアロマセラピーで防ぐことはできないが、新しい毛が生えてくる時に備えてアロマのマスクで頭皮の良い状態を保つことはできる。放射線療法後の皮膚炎にもアロマジェルが有効だ。
「ターミナルケアにおいては、最後までアロマを使うことを惜しまないで」とマデレイン氏は言う。口腔トラブルを抱える患者の口元にアロマジェルを塗った瞬間に、顔の表情が和らぐことも多いそうだ。精油の吸入で呼吸が楽になり、家族と良い時間を過ごすことができたという例も幾度となく見てきたのだとか。
セミナーの最後には、マデレイン氏自身がアロマケアで母親を看取り、死後のケアをした話が写真と共に紹介された。自身の手でケアを行うことで絆が深まり、自分の心のケアにもなったと語る。
手法だけでなく、セラピストとしての姿勢や考え方を深く学ぶことができ、アロマセラピーの可能性が大きく広がる有意義なセミナーとなった。
主催:自然療法の国際総合学院IMSI
https://www.imsi.co.jp/