アーユルヴェーダ・セラピストになるためのイロハは、日本でも学ぶことができる。しかし施術を続けるうちに、インドやスリランカなど、現地で知識と技をブラッシュ・アップさせたいと考えるのではないだろうか。そんな向上心を持つ方への受け皿として、6月23日から7月2日まで、「アーユルヴェーダ・セラピスト10日間ブラッシュ・アップ・コース」がスリランカで行われた。
ゴールデンウィークの頃に起きたテロ事件により、当初の予定より参加者が大幅に減ったものの、めったにない機会を生かすためにと3人が参加。理論と実技の学習以外にも、日ごろお客様と接していて迷うオイル選びや施術内容など、具体的な質問に答える時間を設けたこと、さらに実技指導も日本の環境に合わせた内容としたことで、大いに「使える学び」となった。
また国立アーユルヴェーダ研究所付属病院の視察、施術用メディカルオイルの購入、アーユルヴェーダ薬局での買い物なども組み込んだ内容だったため、参加者の充実感は非常に高かったようだ。
スリランカでは、テロの発生以降、海外からの旅行者が激減している。現在は徐々に回復傾向にあるが、こうした苦境にある中でも比較的堅調だったのが、アーユルヴェーダ・リゾートだった。
スリランカには、海外旅行者向けのアーユルヴェーダ・リゾートが数多くあり、ドイツ人などヨーロッパ人を中心に人気が高い。2週間以上滞在して本格的な治療を受けるケースがほとんどだ。治療中は基本的に施設内で過ごすため、観光地を回る旅行のような不安を感じずに過ごせることが、旅行者をいち早く引き寄せる要因になったものと考えられる。
2週間の滞在中は、本格的なパンチャカルマが行われる。パンチャカルマは体内を浄化し、消化・吸収・代謝を上げてくれるアーユルヴェーダの中心的な治療だ。これを行うために、まずはアーユルヴェーダ医師に現在の体調と病歴などを話す。その診断に沿った正しい食事をとり、ヨガや瞑想も行いながら、ハーブ薬と様々な施術を毎日続ける。
近年、日本人旅行者の利用も顕著に増加しており、日本人専用リゾートもある。長い休みが取れたら、ぜひ一度は体験してみよう。体験することで学べることも多く、それを施術に生かしていくことができるはずだ。
文◎岩瀬幸代
スリランカとアーユルヴェーダのための作家兼旅行プランナー。2002年にスリランカのアーユルヴェーダに出会ったことをきっかけに、スリランカへの渡航を50回以上繰り返す。著書に『緑の島スリランカのアーユルヴェーダ』(晶文社)、『迷走患者』(春秋社)、『アユボワン!スリランカ ゆるり、南の島国へ』(光文社)など。
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