たっぷりの睡眠が、美肌や健康のために良いことは、もはや常識ですね。けれど、ダイエットの場合はどうでしょうか?睡眠が長い人と短い人、どちらが痩せやすいのか、ダイエット健康協会の代表を務める古谷暢基さんに伺いました。
お話◎古谷暢基さん 取材・文◎本誌編集部
活動時間が長いとカロリーを消費する、というのはウソ!
「寝る時間が短ければ、それだけ活動時間が長いので、カロリーも消費するから痩せる。逆に、寝る時間が長ければ、カロリーも消費しにくく、太りやすくなる」
そんなふうに思っている人、多いのではないでしょうか。
しかし、これはむしろ逆の結果を招くことになるのです。
アメリカのコロンビア大学で18,000人を対象に行った調査によると、7時間睡眠のグループの肥満率を1とした場合、6時間のグループでは1.2倍、5時間のグループでは1.5倍、7時間のグループでは.7倍以上と、睡眠時間が少ないほど肥満になる確率が高い、という結果になったのです。
この事実を解き明かすカギは、私たちのホルモンにあります。
「痩せるホルモン」と「太るホルモン」がある
痩せる/太るという身体のメカニズムは、私たちのホルモンと深く関わっています。
ダイエットに関係するホルモンは2つ。
1つ目は、脂肪細胞から分泌され、脳に”代謝を上げて、食欲を抑制せよ!”というシグナルを送る「レプチン」。これが”痩せるホルモン”です。
もう一つは、胃から分泌され、脳に”お腹がすいた、エネルギーを摂取せよ”!というシグナルを送る「グレリン」。これが”太るホルモン”です。
スタンフォード大学の実験では、5時間睡眠の人は8時間睡眠の人に比べて、痩せるホルモンであるレプチンが15%減り、太るホルモンであるグレリンが15%増加した、という結果が報告されました。
さらにシカゴ大学の実験では、4時間睡眠と10時間睡眠の被験者で比べたところ、4時間睡眠のグル―プの方が、太るホルモンであるグレリンが30%近くも増えたのです。
これらの結果から導き出されたことは、
「寝不足状態は、痩せるホルモンを減らし、太るホルモンを増やす」
ということ。
睡眠中にこそ脂肪が燃焼する
ホルモンの他にも、睡眠がダイエットと関連する根拠があります。
睡眠中は、私たちの消化器官もお休みタイムに入りますが、体温や血流などは維持しなければならないため、内臓もある程度は稼働しています。
中でも「心臓」と「肝臓」は、”肝心”というだけあって、生命維持に直結するため、24時間フル稼働。この二大臓器のエネルギー源の多くが、”脂肪”なのです。しかも、睡眠時は血糖値が下がるので、脂肪がエネルギー源として使われやすい状態。
つまり、「睡眠タイムは、効率的な脂肪燃焼タイム」なのです。
とはいえ、睡眠時間は長ければ長いほど良い、というわけではありません。
8時間を超えると、肥満や疾病率が上がるという報告も多く存在します。
極端に短かったり長過ぎたりせず、”程よい睡眠時間(7〜8時間)”が、ダイエットにも美肌にも健康にもよい、ということを覚えておきましょう。