「ホリスティックな医療とは、ボディ・マインド・スピリットに働きかける医療です。身体のみならず、心、気、霊性を意識し、さらには社会環境や自然環境までを含めた全体的な視点から健康を考えていくことこそ、今求められているのではないでしょうか」
こう語るのは、全米認定リフレクソロジストの荻野麻里さん。
健康や病気について考える時、身体だけではなく心や環境を含めて全体的にとらえる「ホリスティックな医療」が以前に増して重要視されるようになった。そこで、ホリスティック医療の発展と各地の取り組みについて荻野さんにインタビューを行った。
――これからの医療については、何が必要とお考えでしょうか。
荻野麻里さん(以下、敬称略) これからの日本人の健康は、医療者のみならず、あらゆる療法士、セラピストたちが協力し合って支えていかなくてはならないと思います。厚生労働省は、自分の健康には自分で責任を持つ、という「セルフメディケーション」を推進しています。“軽度の不調なら医療に頼らず、自分で工夫をして手当をしよう”ということです。
そのような世の中の流れをキャッチして、「NPO法人 日本ホリスティック医学協会」では、2022年よりホリスティックな医療者・施術者の育成を目的とした「認定療法士制度」をスタートさせました。
私は「認定療法士制度」第1期認定療法士となり、リフレクソロジーと医療の連携を目指すべく活動をしております。4月より第3期認定療法士の募集を開始するそうです(※受験資格がありますので、詳細は募集要項をご確認ください)。
――ほかにはどのような取り組みがあるのでしょうか。
荻野 病院とセラピーの連携が始まっています。昨年、育生会横浜病院にてアロマケア外来が始まりました。長堀優院長のもと、アロマセラピストの中村智美さんが中心となって、看護部との綿密な調整により開設されました。
また、東京の赤坂溜池クリニック(精神科・心療内科)では、降矢英成院長が投薬だけに頼らない、自然治癒力を高めることが期待される代替療法・心理療法・ボディワークなどを、長年にわたり取り入れています。こちらでは2月より、リフレクソロジーの施術をさせていただくことになりました。3月からはバッチフラワーエッセンスのコンサルテーションも始まります。
――病院との連携は先進的ですね。ほかの地域はいかがでしょうか。
荻野 日本の各地で、ホリスティック・ドクターたちが地道に根気強く活動されています。
先日は富士山麓に山本竜隆医師が作られた、リトリート施設を見学してきました。
山本先生は長年無医村だった地区に「朝霧高原診療所」を開設し、一般診療と地域医療(在宅医療や産業医など)に忙しく携わるかたわら、滞在・体感型施設 「富士山静養園」と「日月倶楽部」を活き活きと運営されています。富士山を望む広大な土地には、湧き水を汲んで散策が楽しめるコースがあり、空き家利用の野菜温室やハーブウォーター抽出設備、サウナ小屋などが、アイディア満載に創り上げられています。今春からは自然農法を学ぶ「富士山ホリスティック農学校」が開校されるそうです。
ようやく日本もこのような施設が登場するようになりました。ホリスティック・ドクターやナース、各種セラピストたちが連携し合い、より活発に活動できる世の中になっていくことを期待しています。
以上のように、認定療法士制度や病院・クリニックとの連携、リトリート施設の運用など、各地で取り組みが広がっている。今後も、ホリスティック医療の発展に注目したい。
プロフィール 荻野麻里さん
ARCB (アメリカリフレクソロジー認定協会)全米認定リフレクソロジスト。ICR (国際リフレクソロジスト学会)日本コーディネーター。日本ホリスティック医学協会認定療法士。2000年より東京・青山にて、セラピーワークとスクールを個人開業。2021年杉並区に「Sole to Soul Studio」を移転オープン。