最近の不調に対する身体へのアプローチ。本誌では、サロンで行う手技を解説しました。ウェブでは、自宅でできるセルフケア法を、シリーズでいくつか紹介します。
今回は、「腰痛」に対するアプローチ、その1です。
構成◎本誌編集部
骨盤矯正クッション……それ、ホントに身体に合っている?
腰痛にはさまざまな原因がありますが、デスクワークによって、腰に痛みが生じるケースがあります。
「それなら、骨盤矯正クッションを使えばいいのでは?」と思うかもしれません。でも少々お待ちを。実際にお店でそのようなクッションに座ってみて、「心地いい」と感じていますか?
「そもそも、骨盤が歪んでいるから腰痛が生じる、という考え方そのものが大きな間違いです」と、身体均整師の矢作智崇さん。
「例えば骨盤の右の筋肉が収縮し、左は弛緩して、骨盤に左右差が生じているとします。でも、それが痛みの原因とは限らないのです。他の箇所の問題によって、左右の筋肉を収縮させることで、身体がバランスをとっている場合もあるからです。仙腸関節のトラブルと、左右の歪みと、回旋の問題など……さまざまな要因が重なり合って痛みが生まれるので、骨盤の歪みを矯正すると痛みが消失する時もあれば、歪みを強調(促進)することで無くなる時もある。これを覚えておきましょう」(矢作さん)
痛みは、身体が危険サインを発している証拠。「一般的に美しい・正しいといわれる姿勢」をとって痛みを感じるなら、あなたの痛みにとってその姿勢は正しいものではない、と矢作さんは話します。次からは、それぞれの身体が心地よくなる座り方を紹介していきます。
実践してみよう!「腰痛」のセルフケア
身体が心地よいと感じるほう、痛みが消失するほうに、タオルを敷きます。行うのは、たったこれだけ。
身体の感覚に従って、左に敷いてラクに感じるなら左に、右がラクなら右に、タオルを敷いていきます。これにより、骨盤の左右の高さが調い、脳に「心地よいという情報」が伝達されていきます。
数分経つと、ムダな緊張が取れてきます。それは、痛みを引き起こす筋肉の収縮が消えるから。「心地よい」という感覚が脳に伝達されると、交感神経のレベルも低下し、痛みも軽減します。また筋収縮も修復されるので姿勢も変わってくるためです。人は、気持ち良い方向に自動的に移動する生き物。脳に気持ち良い情報を与え続けることで、おのずと身体が調います。観察すると、服のシワの片寄った形が変わるので確認できます。(写真の場合、左に敷く方が骨盤の左右差がなくなり、身体がラクになるため、シワが並行になっています)
「 でもクッションを使いたい!」という場合は、” その場ですぐに結果が出るもの” があなたにとっての正解。お店で試して、身体が瞬時にラクになるものを選びましょう。