2022年「セラピスト4月号」では、第2特集で「心の免疫力を上げる“五感”へのアプローチ ストレス・コントロールの教科書」を掲載しています。
この特集では、ストレスの正体と心身への関わり、そしてストレス・コントロールの方法を、医師やセラピストが解説しています。
ここでは、そのうちの一人で、アロマスクールにてストレスケアクラスも開講しているベンゼル智子さんが、アロマとタッチングによるストレスケアの方法を、あるクライアントの事例をもとに解説します。
構成◎本誌編集部
ストレスとPMSに悩む 20代女性会社員が
アロマとタッチングで元気になった!
お悩み:超多忙な仕事でPMSが悪化してしまった!
Aさん29歳女性。大手企業の会社員。仕事が超多忙で帰宅が深夜になることも。最近PMSが酷くなったと感じる。PMSの症状は、吐き気、乳房の張り、倦怠感が最も強く、むくみ、眠気、イライラ、腹痛、集中力がなくなる、などがある。
Step1 女性ホルモンのアンバランスを整えてゆく
生理前の2週間は吐き気や身体がだるく、外出することが出来ない状態である。以前からPMSがあったが、仕事を始めて以来、症状がひどくなったと感じている。
PMSは女性ホルモンのアンバランスが原因と考えられている。ホルモンのバランスの中枢は脳内の視床下部にあり、視床下部は自律神経系の中枢でもある。クライアントは頻繁に深夜まで働くことで、自律神経のバランスが乱れる状態が続いている。それがホルモンバランスの乱れに影響していることも考えられる。
PMSの症状は多様で、症状の程度も個人差が大きい。そのため、それぞれのクライアントの症状に最も影響する原因を見つけ、精油を選択すると良い。
- マンダリン 4滴
- クラリーセージ 1滴
- マージョラム 3滴
- スウィートアーモンドオイル 15㎖
- イランイラン 1滴
- ホホバオイル 5㎖
マンダリンは、深夜までの労働は長時間の緊張を強いる。マンダリンはリラックス効果が知られている。リラックスすることでストレスが和らぎ、自律神経系のバランスにも影響すると考える。
クラリセージは、倦怠感とイライラ感を鎮めるため、また、クライアントの好きな香りでもあったため用いた。イライラした気分は交感神経を刺激し、自律神経系のバランスを乱す原因となる。好きな香りは気分を和らげる効果もある。
また、一説として、クラリーセージにホルモン様作用があるとする考えもあるが、ないとする意見もある。
マージョラムは、クライアントのストレス度が高いため、マージョラムの鎮静作用を活かし、ストレスを緩和することを目的とした。ストレスを軽減することで自律神経系のバランス調整に影響すると考えた。
Step2 アロマトリートメント
仕事が不規則でハードなため睡眠不足が続き、疲れが蓄積していると考えられる。神経を鎮静させる精油ブレンドオイルで、自律神経系を意識した技法を用いてリラックスして頂く。それにより自律神経系のバランス調節を図り、それがホルモンバランスに良い影響を及ぼすと考えた。
クライアントは左頚椎外側が硬く、肩上部にも凝りがあることから、生活が仕事優先で緊張が強いと思われる。「5分間で出来る緊張を解くリラックス法」をお教えした。
翌月の生理前は、胸の張りが無くなり、吐き気もとても軽くなったと驚かれていた。
Profile
ベンゼル智子さんべんぜるともこ 日本ホリスティックケア研究所代表。IFA認定アロマセラピスト、IFA認定プリンシパルティーチャー、あん摩マッサージ指圧師。IFA創設者ジャーメイン・リッチ氏に師事。四谷のスクールでIFAアロマテラピーコースの指導を行う。