こんにちは! 『セラピスト』誌でも何度も取り上げ、業界でもいま注目が集まっているチネイザン。本誌で特集を組むにあたり、実は編集部のメンバーも、これまで誰も受けたことがなかったことに気がつきました。そこで今回、たまよろ庵を主宰するチネイザンセラピスト・Yukiさんに、特別に施術を体験させてもらいました!
「1回で効果が出るの?」「ただの腸マッサージじゃないってどういうこと?」などなど、編集部でも興味津々。どんな癒しや発見があったのか、実際のところを詳しくレポートいたします。
文◎本誌編集部
写真◎漆戸美保(ビフォーアフター写真を除く)
身体の声を代弁してくれているよう
施術ルームへ伺ったのはまだ寒い日の朝でした。Yukiさんの「今日はありがとうございます~」の優しい笑顔に迎えられて上がると、お部屋がとっても温かい。お腹を出して行う施術のため、冷えないようしっかりと室内を温めておいてくださったのです。早速ほっこりと気持ちがゆるみました。
セッションはカウンセリング、カルテ記入から始まります。
1つずつ埋めていくと、生活習慣を振り返る欄が多い印象です。「食生活」「運動」「睡眠の質と量」「生理状況」などを記入していると、不摂生を打ち明ける恥ずかしさから、思わずモジモジ。。。
これはもう食生活を指導されると思いきや、Yukiさんが注目したのは睡眠時間でした。「平均睡眠時間が4時間は少なすぎます!」ときっぱり。先生の声も口調もとても穏やかなせいか、指導されてる感は全くなく、むしろ自分の身体の訴えを聞いているかのような不思議な気分になってきます。
説得力あるYukiさんのカウンセリング
「眠る前には何をして過ごしているのですか?」の質問には、料理や掃除、友人とのLINEだったり‥‥よく考えると緊急性は全然ありませんでした。
「それらを夜に始めるのはどうしてですか」とあらためて問われてみると‥‥「日中は周りに意識がいき、自分らしく過ごしていない気がするので、夜だけは無性に自分のための何かをしていたくて夜更かししてしまう」ようです。そんな単純な行動原理が、妙にストンと落ちてきます。
「抑圧した分、解放して埋め合わせたい気持ちが働いているのかもしれませんね。気を張って過ごした自分を癒してあげるためにも、まずは睡眠を6時間は摂ってほしいです」と話す先生によると、睡眠中には成長ホルモンや副腎皮質ホルモンなど、生体バランスや自律神経調整に重要なホルモンの分泌が行われています。そのため睡眠の乱れから、肉体と精神を癒すことができなくなり、負のスパイラルに陥ってしまうのだそう。なるほど。。。
足から始まったチネイザン施術
カウンセリング後は、いよいよ横になり、施術に入っていきます。「それでは身体に触れていきますね」と初めにタッチいただいたのは、足の裏。お腹じゃないんだ!と、これまたびっくり。
私の場合、まず下半身がかなりパンパンに詰まっているようでした。。。
ポイントは「内くるぶし」「後脛骨動脈」「鼠蹊部」で、まずは内くるぶし。これが確認できないほど埋まっているタイプは、子宮筋腫もちの人に多いのだとか。まさに私です! 母指それから拳の第二関節を使ってじっくりほぐしてもらいます。
続いて後脛骨動脈は、脛骨とふくらはぎの間に流れており、ここに指がぐっと入らないのは固まっている証拠だそう。でも、そもそもこんなところに指なんて入るのかしらと訊いてみると、ふくらはぎの筋肉とは関係なく、付け根には指が入るそうなのです。試しに触ってみてください、とYukiさんの脛骨を掴ませていただくと、たしかに全然違う‥‥! や、柔らかい!! そして自分の脛骨を掴むと‥‥なんと掴めません。。。骨に付着した筋肉かと思いきや、単純にガチガチだったのですね。ここが硬いと動脈瘤の原因にもなりやすいそうです。
そして読者の皆さんにはお馴染みの鼠径部リンパ。自分で触ってもゴリゴリが分かるほどで、ここも入念に揉みほぐしてもらいました。正直、ここまででかなり下半身の感覚がクリアになった感が。鈍重がデフォルトとなり忘れていた感覚が戻ってきた感じです。明らかに爽快な気持ちに。
心と全身のバランスを考えて施術されているYukiさん
意外なほど足を入念にほぐしてもらった理由を訊いてみると、「本当に人それぞれですが、下水管と同じように、不要なものを押し流そうといくら水を流しても、排水口が蓋されていたら流れないですよね。身体も同じで、詰まりがひどい場合は末端を先にほぐさないと老廃物も排出されないんです」とYukiさん(Yuki式チネイザンでは、チネイザンだけでなくヨーガやマクロビ、リンパケアについても取り扱っているのは、そういう理由なのか‥‥と深く納得!)。
初めて知る、自分のなかの臓器の気配
そしていよいよお腹の施術へ。と上着をめくるなり、「かなり肋骨が出ていますね」と指摘されました。そういえば子どもの頃から私は肋骨が出ているのですが、もしかして何か問題ありなのでしょうか?
「肋骨が開いた状態で、固まってしまっていますね。かなり丈夫な身体をお持ちだと思いますが、もしかすると肋骨が開き、横隔膜も固まった状態なので、肺も圧迫されて呼吸が浅くなっているかもしれません。ご自身で感じている持久力のなさも、その影響が考えられそうです」と読み解いていただき、思い当たることがあり過ぎてドキッとしました。
肋骨の下にも指を入れていただきましたが、これがまた全然入らないのです‥‥(泣)。そんなガチガチの横隔膜には、呼吸に合わせて圧をかけていきます。吸う息で指を添え、吐く息と一緒に深く指を沈めていきます。これがとても気持ち良かったです。
初めは横隔膜の中心を。何度か繰り返してはポイントを横にずらしていき、肋骨下をくまなくゆるめてもらいます。
私の肋骨ではここまでグーッとは入りませんでした
それから「ここが腎です」とぐーっと指を入れてもらうと、自分のなかのその部分に確かな圧を感じるのです。「痛いですか?」と聞かれましたが、むしろその臓器の気配(存在)を、輪郭として捉えることができた感動がありました。
日頃、自分の内臓といっても目で見るわけではないので、部位と位置でイメージしているのは胃と大腸くらいのものです。それが、初めて自分のなかの臓器1つひとつに挨拶するように「腎」「小腸」「膀胱」「子宮」‥‥と触れられるうち、妙に自分の身体を愛しく感じ始めているのが不思議でたまりません。
また、お腹には皮下脂肪やセルライトもあるなかで、Yukiさんの指が、ピンポイントでその部位へ的確な圧をかけてくるのも「どうして分かるの!?」と驚きでした。ゆっくりとお腹の中心を両手で揺するようにほぐしたり、お腹の両サイドそれぞれを、波打つように流してもらったり。温かな手のぬくもりで、こんな風にお腹を癒してもらった経験は、これまでありませんでした。
お腹に指ってこんなに入るのかと驚かされます
施術の最後に、おヘソの周りにある風門を開けてもらいました。
風門とは「風の通り道」とも呼ばれ、エネルギーの流れや脈を活性化するツボ。ヘソを中心に8つのポイントがあり、それを1つずつ指で刺激していきます。「8つはどれも同じ感じ方とは限りません」と言われた通り、ズンと来るものからピリッと心地よいものまで、さまざま。
ちなみに、チネイザンでは風門を初めに開けるのがセオリーだと思っていましたが、「手順は敢えて固定せず、クライアントによって変えています。今日は本当に固まっていたので、風門から始めるのは刺激が強い(もしかすると痛みを伴う)かと思ったので、最後に開けさせていただきました」とのこと。体質も生活習慣も十人十色、だからこそ身体ごとの見立てはありがたいと思いました。
「自分の身体」を確かめることで意識は変わる
全部終わった後にお腹に触れてみると、なんとも「ふわふわ」感触! 「チネイザンをしていくと、つきたてのお餅のようにふわふわになりますよ~」と聞いていたものの、このふわふわ感‥‥これはむしろ‥‥‥‥十分に発酵したパン生地に似ている!と個人的には感じました(笑)。
同時に、これまでがいかにカチコチだったのか愕然とします。
固まっていた腹部がゆるまったお陰で、
左右バランスのズレが整い、
肋骨の突出が若干調整されました
チネイザンでは1回の施術から効果を実感する場合もありますが、まず「月に1度施術」を3回ほど繰り返すことで、自身でも変化を感じやすくなるようです。 今回、上記のような見て取れる変化もありました。しかし私自身が一番変化を感じたのは「自分の意識」です。それも3つありまして、
①自分のなかで頑張る内臓たちの定位置が分かった
②自分では普通と思っていた感触が、実はカチコチ感触だった
③ほぐせば身体は変化する
そして、「どうせダメ」ではなく「ほぐせば反応してくれる」身体だと知ることが、予想以上に大きな喜びでした。自分の身体への愛着が湧き、施術日以降、極力睡眠時間を摂り、お風呂で内くるぶしに脛骨と鼠蹊部を、眠る前に横隔膜をほぐすようになりました。
たまよろ庵オリジナルのアロマオイルを使用しています。
心地よい香りで、そのまま入眠に導かれています
義務にすると続かないのでゆるくやっていますが、心地よさと癒しを感じています。特に自己肯定感が低い人ほど、揺るぎない(それでいて答えてくれる)自分の身体の存在を強く実感することが、「幸腹」への近道なのではと思わされる施術体験でした。
〔詳細情報〕
取材協力:たまよろ庵 https://tamayoro.com
開催地:東京・巣鴨
セラピーの種類:チネイザン
セラピーのレベル:中級
セラピーの先進性:オーソドックス(根源的)
セラピーを活用できる場所:サロン、自宅
体験者:セラピスト編集部 竹田