『セラピスト』2023年4月号の「チネイザン」特集で登場いただいた、一般社団法人タオイストジャパン・チネイザンプロジェクト代表で、UHT公認チネイザンシニアティーチャーであるタリカさん。その取材のなかで「タオガーデン」の存在を知りました。
タオガーデンは、チネイザン創始者マスター・マンタク・チア氏もいらっしゃる、本場タイの総本山。学びに行くと、そこにはどんな体験や環境が待っているのか‥‥雑誌では紹介しきれなかったタオガーデンの実際の様子について、学んでいたときのことを振り返りながら、タリカさんにレポートいただきます。
文・写真◎タリカ(一般社団法人タオイストジャパン・チネイザンプロジェクト代表)
タオガーデンは、タイのチェンマイ郊外にあるスピリチュアルなリトリートセンターで、緑豊かで広大な敷地内には、いくつかのメディテーションルーム、レストラン、スパ、プール、宿泊施設などがあり、自然と調和した静かで平和な場所です。
ここでは、タイの伝統的でスピリチュアルな教えと、古代中国のタオイズム(道教)の哲学を基盤に、健康、癒し、瞑想、気功、チネイザンをはじめとするマッサージ、性的な健康法などの充実したプログラムを学ぶことができます。併設されているパクアクリニックでは、西洋医学と東洋の伝統療法に基づいたトリートメントを受けることができるので、内面の成長やスピリチュアルな探求をする人々、ホリスティックな健康を求める人々が訪れる巡礼地として、世界中から広く知られています。
人気のプログラムであるチネイザンはタオイズムの思想に由来し、天地自然の法則に従って生きることや、身体と心の健康、内なる平和とバランスを取り戻すための方法として、世界中の人々に愛されています。
私自身が初めてこのタオガーデンを訪れたのは2006年ごろで、体調不良と人生の転機が重なり、ただ自分の「ハラ」の向く方へと、確たる根拠もなく引き寄せられていきました。
初めてチネイザンを受けた時の私は、お腹を人に見せることもためらわれたし、施術中はあまりの痛さにマッサージベッドから逃げ出したいくらいでした。見かけはオープンでしたが内面は相当な臆病者だったのは間違いありません。 コースでは英語がままならないので、勇気を振り絞って挙手! マスター・チアに1つひとつの手技をチェックしていただいたことを懐かしく思い出します。
休憩時間にはプールサイドで日本語と英語のテキストを突き合わせて睨めっこしたり、南アフリカの友人と一緒に練習をしたり、フランス人の友人の試験対策に付き合ったりで、忙しい時間をすごしました。この1週間のコースが終わる頃には、あの痛みは嘘のように消えてなくなり、荒れていた肌もしっとりと艶を取り戻していることに心底驚くとともに、あれは私の内側にある心の悲鳴だったのだと気がつきました。
渡航を重ねるごとに友人も増えてチェンマイ滞在期間が長くなり、タイマッサージを習ったり、有名な占い師を訪れてみたり、友人たちと素敵なカフェやレストランに行ったり、さまざまな場所や人を訪れましたが、タイの小京都と言われる古い歴史が残るこの街は、いつも懐深い優しい顔を見せてくれます。
ある時、街中を散々満喫した後にタオガーデンに戻ると、街で食べたものが当たったのか、当時ひどい排気ガスが渦巻く市街の交差点で、待ち合わせに1時間以上遅れてきた友人を待つ間に吸い込んだ排ガスのせいだったのか、声も出ないほどの腹痛とめまいが!
必死で近くにいたお掃除の女性たちに助けを求めて、タオガーデン内のクリニックへと運んでもらい、点滴を受けて深く眠ってすっかり回復したのですが、クリニックで寝ている私の元へは、先生方やマスターチアまでもが入れ替わり立ち替わり、心配して様子を見にきてくれました。海外で具合が悪くなる心細さたるや相当のものでしたが、人の温かさに心底救われました。その後のコース中、マスター・チアは「町で気軽に買い食いしていけない。チェンマイの交通量は酷いのだから、空気の良いこの場所にいる方が安全だ」と。跳ねっ返り娘を諭す父のようですよね!
チネイザンティーチャーになるためには、まずインストラクターの資格を取らねばなりませんが、受講には1カ月の滞在が必要になります。私はチネイザンプラクティショナー取得後、9年目あたりにこのトレーニングを受けました。 その時のルームメイト、カザフスタン人のAsuは、(タオガーデンの朝は早いので)寝ぼけ眼でいると、つい「おはよう」と日本語で言ってしまうほど、アジア人顔のステキな友人です! 彼女たちのグループは、ロシア、ウクライナ、カザフスタンの三国で組まれていて、よく揉め事があってミーティングをしていたものです。世界が平和でありますように!
サンクトペテルブルグでジムを営むロシア人のシニアインストラクターご夫婦は武術の達人で、何度も試験に落ちてなかなか先に進めない私を忍耐強く合格へと導いてくれました。インストラクターの試験は「お金を払ってここまで来たのに、私を合格させないとは何事だ!」と怒り出す人もいたほどに厳しいものです。太極拳の不合格者の中には、本場中国の武当山で修行したという強者もいたんですから、気持ちはわかります……。だけど、大事なのは「型」の向こうにある内なる「気」なんだと気づかされ、全身全霊で学んだ時間になりました。
タオガーデンの近くに別宅を持つ彼らの家にはよく遊びに行きました。私がタオガーデンに日本人を連れてくると、「日本人はお風呂好きでしょ!」と、近くの温泉にみんなを連れて行ってくれたり、私たちの英語が上手くないことなど全く意に介さず、異国から来た友人たちとの時間を心から楽しむハートオープンな人たち。
世界中にいるステキな友人たちとつながりながら、彼らからも多くのことを学んでこれました。気が満ちた穏やかな場所に集まるのは、やっぱり同じような波動をもったステキな人たちです。年齢も、性別も、立場も国籍も超えて、タオガーデンで学ぶ私たちの共通言語はタオイズムなんです。
プロフィール
\本場タオガーデンで学ぶチャンス!/
2023年8月に「チネイザン・プラクティショナー認定コース2023 タオガーデン」が、本場タイ・チェンマイで実施されます!
日本語通訳とテキスト付きなので、初心者にもオススメ。
詳細は一般社団法人 タオイストジャパンまで(https://chineitsang-project.com/)。