フェイシャルやフルボディトリートメントなど、自身の「癒しの手」を使ってさまざまなメニューを提供しているセラピストたち。
腱鞘炎やばね指、手荒れなどの「職業病」は避けられないのでしょうか?
Part2では、セラピストたちが抱えている「手の故障」と、その具体的な対処法、さらには「故障知らず」のセラピストになるための方法を聞きました。
構成◎本誌編集部
セラピスト70人に聞く、主な手の故障には、腱鞘炎、関節炎、親指&肘頭の痛み、リウマチ、ばね指、肩凝り、首凝り、しびれ、肌荒れ、手荒れ、気をもらうなどがありました。
さらに、それらへの対策や予防法を紹介します。
Q1. 施術の際に「手の故障」を避けるために、どのような対策をしていますか?
「お客さま1人ひとりに合わせてタッチや圧を変えること。そして、ボディメカニクスに沿った怪我をしにくい身体の使い方をすることが大切」
「施術中に手首の過度な伸展、内転、外転をしないように圧を与えている」
「体重移動、ベッドの高さやリクライニングチェアの高さやサイズなども適切に調整している」
「手首が痛くなる場合は、肘の角度と手首の角度に無理があるため調整する必要がある。反対に手首が柔らかすぎても体重を支えきれないため、自分の柔軟性を理解して施術をする必要がある」
「リフレクソロジーの場合、無理をして指だけに力を入れすぎると関節を痛めたり、腱鞘炎になってしまう。また、施術時の姿勢が悪いと腰や背中まで痛めてしまうことも。そのため、身体全体から力を出すように心がけている。天と地から力を借り丹田から出すよう意識すると手の負担は減り、クライアントにも気持ちの良い圧が伝わる」
「手先や腕の力に頼った施術をしてしまうと、セラピスト自身の呼吸が止まっていることが多い。自分の呼吸を意識して腕の余計な力を抜き、身体全体で施術をすると、手の負担も軽減される」
「手先だけで操作するのではなく、手が耳から繋がっているとイメージしながら行っている」
「肩甲骨など圧をしっかり効かせたい部位には、ホットストーンを活用している」
「無理をしすぎない、酷使しすぎないことが大切」
「お客さまからの『もっと強く!』という要望に惑わされないこと」
「良くも悪くも手から沢山のエネルギーを受け取り、全身に回りやすい。お客さまの不調をそのまま受け取らないことが大事」
「低品質の精油や植物油を使いすぎると、手荒れや皮膚アレルギーの原因なるので注意している」
※現在発売中の「セラピスト6月号」では、セラピストに起こりがちな手の故障と、その予防法を紹介しています!
Q2. 手の故障を防ぐために、毎日どのようなセルフケアをしていますか?
「朝晩とトリートメントの前後に、指、掌、手首をストレッチする。関節を1つひとつしっかり伸ばし、肘から下の筋肉をほぐす、肩甲骨を回す、ハンドマッサージをしてもらうなど、疲労をため込まないことがとても大切」
「ボディアートトレーニングという、マットを使った自重トレーニングを行い、身体や力の使い方をコントロールしている。それにより、無駄な動きや力みがなくなり、身体の負担を軽減させて怪我を防ぐことができる。また、圧のかけ方が上達し、指の力も強くなる」
「ヨガで身体をメンテナンスしている」
「信頼できるセラピストを見つけ、定期的に通いケアしている」
「肌荒れ、手荒れの対策として、生活習慣や使用するオイルに気をつけている」
「手荒れに注意している。例えば手の傷口からお客さまの菌が入り、皮膚病になる可能性があると聞いている。もし傷を負ってしまった場合は、キズパワーパッドのような剥がれにくいアイテムを活用して施術をしている」
「オイルで保湿しすぎて手が荒れてしまう人もいるそうだ」
「女性ホルモンが手に悪影響を及ぼすこともある。セラピストこそ女性ホルモンについて詳しく理解し、セルフケアを取り入れた生活が必須だと思う」
「オールハンドのトリートメントによって手からお客さまの気をもらい、施術後にどっと疲れることがある。そのため、粗塩を両肩にどかっと置いてシャワーを浴びる。トリートメントを始める前に、高野槙の精油の香りを身体の周りにまとわせている」