『セラピスト10月号』におけるスポーツアロマトレーナーの神﨑貴子さんとアロマセラピストの大橋マキさんのスペシャル対談。誌面では、子育てをメインに家庭と仕事の両立についてお話いただきましたが、「セラピーライフ」では番外編として「介護」についての話をご紹介します。
取材・構成◎小平多英子
介護に役立つセラピストの仕事と子育て
『セラピスト10月号』で実現したスペシャル対談で、子育てと仕事を上手く両立させる秘訣を伺ううちに、自然な話の流れで「介護」へと辿り着きました。
神﨑 子どもがいなくても、家庭と仕事の両立は難しいですよね。
大橋 今は子育てをしながら、無理のない形で仕事を続けようと考え、生活圏の中で出来る活動を始めました。
神﨑 具体的にはどのような活動ですか?
大橋 地元のセラピストさんとの活動なのですが、葉山社会福祉協議会と協力体制で古民家を借りて、認知症専門のトリートメントの準備をしています。メンバーにはママさんセラピストも多く、それぞれ、産後ケア、ベビーマッサージなど得意分野で活躍している方たちです。お互いの技術をシェアする勉強会もしています。
神﨑 ワークショップのようで良いですね。
大橋 同じような境遇の方がいて、価値観が近く、調整もしやすいですね。「地元の幸せな未来」というテーマのもと、共感して集まっています。将来的には、デイケアを作ることが夢です。
神﨑 介護は難しい問題ですよね。実は、私も2カ月程前から、父の介護をしています。突然のことでした。
大橋 そうなんです。介護は突然スタートします。ですから、トリートメントなどの活動を通して、ある日突然やってくる介護というのを変えたくて。エイジングの先に介護があるということを、ぼんやりでも良いので知ることが出来る環境を整えたいと考えています。
神﨑 介護については知らないことだらけで、色々と勉強をしました。役所に行って話を聞いたり、資料をもらったり。知らないというか、知られていないことの方が多く、心の準備が何も出来ていない状況でした。
大橋 以前、介護のことを勉強したことがありますが、分かりにくいと感じました。実際に介護をする身になったら、まず、情報収集と環境調整が必要になりますよね。お仕事をされている時間はどうされているのですか?
神﨑 ヘルパーさんにお願いしています。
大橋 仕事をしながら子育てをした経験から、抱え過ぎないというノウハウが活かされていますね。介護は、人に頼れずに1人で抱え込んでしまうケースも多く、介護者の心のケアも問題となっているようです。
神﨑 今回、自分が父を介護することになり、スタッフに事情を話して仕事をセーブしたいと伝えました。すると、今まで聞いたこともなかったのですが、スタッフも同じ状況だと言うのです。「大変でしょう」と聞いたら、「すごく大変だ」と。
大橋 人に相談できないというケースもあるようですね。
神﨑 父のことで介護について勉強したばかりでしたので、色々とアドバイス出来ました。父は今年で79歳なのですが、長生きして欲しいですね。これまで、仕事中心で親と過ごす時間も少なかったので、今、父の側にいることが出来てすごく幸せです。大変なこともありますが、一緒に過ごせることが楽しくてしょうがありません。
大橋 ポジティブで、何ごとも楽しめるのは神﨑さんの究極の才能ですね。
神﨑 体力は使いますが、自分もいずれこういう時期がくるんだなと思い始めるきっかけにもなりました。
大橋 私自身も祖父母と同居した経験がありませんが、高齢者と暮らしたことのある方が少なくなっていますよね。そういった中で、地域の養老介護のシステムがどうようになっているかを知りたくなったのです。
神﨑 知ることで介護に対する、心の準備にもなりますよね。
大橋 エイジングというものがトータルで楽しくなって欲しいですね。
著者プロフィール
神﨑貴子(かんざきたかこ)さん
鍼灸あん摩マッサージ指圧師。JSTA認定スポーツアロマトレーナープロフェッショナル。さくら治療院院長。プレミナセラピストスクール校長。ロンドンオリンピックパラリンピック選手帯同。現在は、スポーツアロマ普及のため、トレーナーとして活躍中。
プレミナセラピストスクール:http://puremina.com/
さくら治療院:http://sakusakura.com/
大橋マキ(おおはしまき)さん
IFA認定アロマセラピスト。フジテレビアナウンサーを退職後、英国で植物療法を学ぶ。6年間の病院におけるアロマセラピストの活動を経て、現在は、アロマ空間演出、精油の地産地消の仕組みづくりなど幅広い分野で活躍中。