お客さまのために最適な精油を選ぶこと。これはアロマセラピストとして基本のスキルでありながら、悩むことの多い仕事です。セラピスト10月号の第2特集では、精油選びのハウツーを解説すると共に、精油選びの幅を広げるための、世界の珍しいエッセンシャルオイルを「フィトアロマ研究所」の小島秀元さんに紹介していただきました。
さらにこの記事では、小島さんおすすめの、京都のブランド杉「北山杉」で作られた精油についてご紹介していきます。
取材・構成◎本誌編集部
杉の枝葉から抽出されるため、香気成分たっぷりの精油が採れる
皆さんは、杉の精油の香りを嗅いだことがありますか?
日本の森で育まれた杉の精油は、日本人の身体に合う「真土不二」の精油として近年人気を集めていますが、その香りは深いグリーン調に感じられるものや、ほのかに苦みがあるものなど、産地や蒸留法によりさまざまです 。
今回ご紹介する「北山杉」の精油は、華やぎのあるクリーンな香り。透明感ある、爽やかな緑の芳香は、女性のみならず、男性からの人気も非常に高いのが特徴です。
そもそも北山杉は、全国でも名の通ったブランド。
京都北山で育てられる節の無い美しい杉の丸太は、昔から意匠建築などに重宝されてきました。
また見た目の美しさだけでなく、その強度にも定評があり、近年では構造材としても使用されています。
美しさと強さを兼ね備える北山杉を育てるために、京都北山では、2年に1回、下枝を全て取り払う「枝打ち」を行います。栄養を作る枝葉が落とされることになるので、樹にとっては辛い行為……。
でもこれにより北山杉は鍛えられ、より強く育っていきます。
つまり北山杉の精油は、選ばれた杉のエッセンスなのです。
花粉症に効果!クロモジやユズ精油とのブレンドも相性が良い!
北山杉の成分は、α-ピネン, β-ピネン、、酢酸ボルニル、αツジェン、β-ミルセン、リモネン、γテルピネンなど。
この北山杉の精油成分は、花粉症といった呼吸器に関する悩みなどに作用することが分かっています。また研究機関での実験結果で、脳の海馬に刺激を与え、認知症の後退にも効果があることが明らかになっています。
日本人に親しみのあるこの杉の香りは、クロモジ やユズなどの日本産精油とのブレンドも好相性。
海外の精油だけでなく、日本の森から育まれる精油にも魅力的なものがたくさんあります。新しい精油との出合いが、セラピーの世界を広げる扉となることでしょう。
北山杉の精油は、「フィトアロマ研究所」と「株式会社K・Kファーム アロマ事業部 『杉乃精』で販売しています。
著者プロフィール
小島秀元(こじまひでゆき)さん
アロマテラピーショップ「フィトアロマ研究所」代表。世界中の精油の輸入・販売、アロマテラピーに関する講座の開催、講演などを行う。旅行代理店やアロマスクールでの勤務で培った知識や経験、独自の文献研究による分析には定評がある。現地の精油メーカーや生産所と直接取引をしており、ここでしか手に入らない精油も多数あるそう。
9月5日発売の『セラピスト10月号』では、「コンサルテーションの技術向上」と「教科書以外での精油の知識」を二本柱に、精油の選び方が上達する近道をご紹介しています。