『セラピスト』2月号では、今年こそ夢を実現!『サロン開業』をテーマに特集しています。現在、個人でサロンを開業する人が増えていますが、開業スタイルはさまざま。一人ひとり、それぞれのストーリーがあります。ここでは、自宅で開業した人に何故セラピストになったのか、そして開業前後の想いを伺いしました。
これから開業しようと思っている人の励みになるメッセージが見つかるかもしれません。
構成◎本誌編集部
共通質問
Q1:セラピストになったキッカケ、なろうと思った理由は?
Q2:開業するまでに大変だと感じたことは?
Q3:開業するまでにやっておけば良かったと思うことは?
Q4:開業して良かったと思うことは?
山川沙織さん
「ドッグケアサロンTsumugi」
サロンの特徴
ドッグアロマトリートメントは、天然アロマの香りと優しいマッサージで、わんちゃんに癒しと安心感を与えてくれる。アロマは、わんちゃんにも安心の天然成分100%のハーブウォーターを使用。
<HP>https://www.instagram.com/milk_mugi_y
Q1.長年続けているトリマーの業務を通して、「わんちゃん達もさまざまなストレスにより、心と身体のバランスを崩してしまっているんだ」ということを実感していました。辛い時に優しく撫でることで癒され、ストレスが緩和されます。また、お互いに落ち着き、安心感を感じることができます。“触れる”癒しの素晴らしさを知ったことも大きなキッカケとなりました。
Q2. ドッグアロマトリートメントの素晴らしさやアロマケアの必要性をどのように伝えたら良いかを考えました。開業に先立ち、サロンのチラシを作ったり、SNSによる発信を始めたのですが、思いをカタチにしていく作業が大変でした。
Q3. 事務的な作業がもともと苦手でした。実際に始めてからは、他の業務に神経を使うことが増えるので、事務作業は後回しになりがちで、大変でした。
最初にその辺の管理方法を、調べたり誰かに教えてもらったりして、きちんと決めておけば、もう少し楽だったのかなと思います。
Q4. わんちゃんのウットリとした表情を見たご家族様から「帰る時もずっと笑顔でした」「体調が良いです」「食欲が出たみたいです」「毛艶が良くなりました」など、嬉しいご報告を頂くことがなによりも嬉しいです。始めて良かった、と心から思える瞬間で、がんばる糧となります。
浅利陽子さん
「アロマサロンkasane」
サロンの特徴
メニューは、英国IFPA認定セラピストによる全身アロマトリートメント(90分、120分)を提供。コンサルテーションをじっくり行い、精油を選定する。クライアントのその日の気分や状態に合わせ、トリートメントの部位や用いる手技、時間配分を決めている。
<HP>https://kasane-aroma.amebaownd.com/
Q1. 友人がIFPAの資格を取るため、症例研究のモデルを探しており、彼女のトリートメントを受けたことがキッカケで、セラピストになりたいと思うようになりました。ホームケアの提案など、クライアントと真剣に向き合う姿勢に感動しました。アロマを学ぶ中で、自分の短所と思っていたのんびりした性格が、トリートメントでは長所と捉えられるようになり、徐々に仕事にすることを意識し始めました。
Q2. なるべく手持ちのものを利用して、自己資金の範囲内で小さく始めたつもりですが、それでも思っていた以上にお金がかかり、焦りました。特に集客はお金をかけだしたらキリがなく、予算を決めてやらないといけないと思いました。政府の持続化補助金を利用したり、クラウドファンディングに挑戦するなどして積極的に資金を確保できるよう努めています。
Q3. 特にありません。あまり先々のことを考え過ぎずに、まずは行動してみて、問題が見えてきたらその都度対応する方が、早く前に進んでいけると思います。ただ、SNSの投稿はなるべく早くに始めておいた方が良いと聞いていたので、開業までに100件くらい投稿していました。おかげで、開業後もスムーズに投稿することができました。
Q4. 起業していなければ知り合うことのなかったお客さまに出会えたことと、受け身だった生き方が能動的になったことです。何事も自分で考え決めていくことは大変ですが、その一方で、自分らしさを大切にできると感じています。自宅サロンのため子供との時間も大切にできています。
神村聖子さん
「Camélia blanc」
サロンの特徴
Camélia blancのメニューは、Aromapressure®(フランスのフィジオテラピー/メディカルリンパドレナージュ)をベースに作られている。フルボディはもちろん、パーツごとのメニューでもしっかり効果が期待できるのが魅力。
<HP>https://www.facebook.com/cameliablanc2021
Q1. キッカケは、私自身が体調を崩したことでした。40歳を過ぎた頃からちょっとした身体の不調が出始め、複数の病院で検査を受けましたが、異常は見つかりませんでした。そんな私を見兼ねた姉は、「リンパを流しに行ってみれば?」と言ったのです。その後サロンを探し、受けてみると、辛かった不調がスッキリさっぱりなくなりました。その事がキッカケでリンパドレナージュに興味を持ち、同じ様な不調に悩んでいる方のサポートをしたいという思いでセラピストになりました。
Q2. サロンは、母屋を増築して作りました。そのため、その申請や許可にかなりの期間がかかり、オープン日をなかなか決めることができませんでした。家を増築しサロンを開業される方は、オープンするまでに、かなりの時間がかかるかもしれない事を考慮しておく必要があります。ちなみに私は、オープンするまでに、ほぼ一年かかりました。
Q3. セラピストを目指す練習の過程で、いろいろな体型の方にモデルをお願いしたいと思っていました。しかし、コロナ禍によりソーシャルディスタンスを求められていたため、なかなか身内以外の方に練習をお願いできず、いつも決まった方に練習を付き合っていただいていました。その後、開業し始めの頃は十人十色の身体つきに戸惑いました。コロナ禍じゃなければもっといろいろな方を練習できたのに……と思いました。
Q4. 私が通ったのは沖縄にあるAromapressure®スクールで、ダニエル・マードン先生(リンパドレナージュ発祥の地であるフランス出身。医療機関で活躍)と高橋結子先生から習いました。ご自身が考案されたメディカルリンパドレナージュメソッドを、惜しげもなく直接私達生徒に教えてくださいます。その技術をお客さまに提供でき、不調が改善されたとお喜びの声を頂戴した時、思い切って起業しセラピストになって良かったと心の底から思います。
大木裕美さん
「住宅街の中にある癒やしのおうちサロン未鳥(みどり)」
サロンの特徴
10年先も健康で美しく誰もが持ってる美しさを引き出すサロン。理想ボディメイクで癒着と捻れをとり、和のフラワーエッセンスで心を整え自分らしく生きるためのセッションをしている。
<HP>https://s3wqc.crayonsite.net/
Q1. 20歳の頃からエステの仕事をしていました。好きな仕事でしたが、「辛く苦しい」と感じることが増え、退職。その後、心のことを学びたいと思い、勉強を始めました。勉強を進めていく内に自分のサロンを開業したいと思うようになり、サロンをオープンさせました。私の経験から「セラピストが幸せであること」が一番大切で、自身が幸せであるからこそ人を癒せるのだと思っています。
Q2. 私は、「開業する」と常に思い続けていました。自分が出来ないと思ってしまうと、出来ることも出来なくなってしまうので、強い心を保つことが大切だと思っています。そんな私を支えてくれたのが「和のフラワーエッセンス」です。私の心を前向きにし、行動させてくれました。また、一緒にいると前向きになれる人や成功している人の側に行くようにもしていました。
Q3. 開業する前に、SNS等による発信をもう少しやっておけば良かったと思っています。また、チラシをまいたりもっと地域の活動をしたりすれば良かったなと思いました。
Q4. 開業して良かったことは、“自由であること”です。もちろん、全てが自分の責任となりますが、好きなようにやりたいことが出来ることのメリットは大きく、自分のオリジナリティーが出せます。働き方も、やりたいことも、行きたい所も、自分で決めて自分で出来ることが開業して良かったと思うことです。
柳沢ひろよさん
「リンパアクティベーション協会認定サロン:ゆー照らす」
サロンの特徴
リンパアクティベーション®とは、アスリートトレーナー考案、着衣のまま寝たまま、深層リンパと筋肉にアプローチする他力本願のストレッチを施す。整体・エステ・リンパマッサージ効果を一度で体感でき、その効果は約一ヶ月間持続する。老若男女に感動いただける技術は、ボディ、フェイス、ヘッドのメニュー展開。
<HP>https://profile.ameba.jp/ameba/hiroyo-y7411/
Q1. コロナ禍をキッカケに、“こんな時代だからこそ人の手のぬくもりが求められている”と、セラピストへの転身を決意しました。「免疫力・自己治癒力を高め、薬に頼らず自分の健康を守れる人を増やしたい」。そんな想いから、確かなメソッドとリラクゼーション効果を求めて、リンパアクティベーションを学び、セラピストになりました。
Q2. 初心者からのスタートでしたので、最初は力加減やお身体への気遣いの仕方が難しく感じました。施術経験人数をたくさん積むことも難しく、モニターを募集してより大勢の方に触れる経験を積みました。また、技術習得と同じくらい、事業を始める覚悟、自分自身を知ることの大切さを痛感しました。多様化の今、生きることへの本気度が試されたように感じます。
Q3. もっと本を読んでおけばと思いました。焦りの気持ちから、いろいろなセミナーに顔を出しては中途半端に知識を得ることを繰り返しましたが、本を読む方がさまざまな分野の深い知識やスキルが身に付くと実感しました。また人との交流を増やすのも良いです。企業者側、お客さま視点のリアルな話はとても参考になり、モチベーションがアップします。
Q4. 時間にも思想にも縛られない生き方ができることです。自分自身と深く向き合う良い機会となりました。どんなクライアントにもその効果を即実感していただけるリンパアクティベーションで、本来の健康的な身体で生きる楽しさを広めたいと願っています。
西脇奈津子さん
「女性限定隠れ家自宅サロン Manaririo」
サロンの特徴
ハーブリーディングができるよもぎ蒸しと、身体だけではなく心にまでアプローチ出来る、医師監修のリンパシーを取り入れている。直接肌に触れ、優しい圧とゆっくりとしたスピードで、女性ホルモンの働きを活性していく。
<HP>https://Manaririo.hp.peraichi.com
Q1. 娘が女性ホルモンのバランスを崩したことがキッカケでした。身体のことについて調べていく内に、心と身体はつながっていることを知りました。そして医師監修のリンパシーアカデミーが女性ホルモンに特化していることを知り、学ぶことにしたのです。ママを通して若い女の子達にも「女性ホルモンの重要性」や「自律神経の大切さ」を広めていきたいと思い、セラピストの道を選びました。
Q2. SNSの発信が大変でした。もともと苦手分野でありながらもまずは自分のサロンのことを知ってもらうこと。リンパシーアカデミーの難波先生にも指導していただきながら頑張りました。初めは、やりたくないことや苦手なこともやらなくてはならないのが大変でしたが、今では楽しくなりました。
Q3. 「ママのためのサロン」にしたかったので、地域のママが集まる所へもっと足を運んでおけばよかったなと思います。地域密着型にするには、やはり地域の皆さんの協力や助け合いは必須になりますので、開業前にいろいろなところへ行くべきだったなと思っています。
Q4. ママの心も身体も楽にしてあげられる事ができる事。リンパシー®ケアで心と身体がスッキリして、「来てよかった」「話してスッキリした」「身体が軽くなった」と笑顔でお帰り頂けた時に喜びを感じます。またお客さまが帰宅してから、「今日は子どもに沢山笑ってあげられた」とご連絡頂いた時は、勇気を持って踏み出し、セラピストになって良かったと思います。
戸村真由美さん
「真ごころ」
サロンの特徴
心を込めた“おもてなし”ができるサロンにしたいと思い、メニューを考案。サロン名でもある「真ごころ」が伝わるトリートメントを提供している。温かな施術で心も身体も癒してくれる。
<HP>https://beauty.hotpepper.jp/kr/slnH000549314/
Q1. 私自身、マッサージを受けるのが大好きで、施術を受ける前からセラピストさんのおもてなしの心が伝わってくると、身体だけではなく心もホッと穏やかになり、よりリラックスすることができます。私は心の病気が原因で身体を壊した経験があり、「心身が悪化する前のケアの大切さ」を伝えていきたいと思いセラピストを目指し、開業しました。
Q2. 「真ごころ」や「おもてなし」と言ってイメージできるのが、高級レストランやホテルなどだと思います。旅行をすると心身がリフレッシュしますが、接客による満足度が大きく影響しているからでしょう。そのため、私は、自宅サロンでどこまで「真ごころ」を伝えることができるのかを常に考えて行動に移しています。
Q3. 学びたいことや興味があることを勉強して、資格を取っておきたかったです。そうすれば、もっと知識やスキルがアップしていたのではと思いました。オープンしてからだと、時間を調整するのがなかなか難しいです。
Q4. お客さまがご来店してからお帰りになるまでの一連のサロンワークを、全て1人で行うことができるので、とてもやりがいを感じています。自分自身のケアの時間を確保できずにいたお客さまの力になれることを誇りに思います。年齢層が幅広く、私もさまざまな情報や希望をお客さまから頂き、日々感謝しています。お店の名前が『真ごころ』でよかったと思える日々です。
神野あさみさん
「美alterあさみ」
サロンの特徴
世界一のセラピスト川上拓人から学んだ世界一の手技に、“痛くないコルギ”を合わせた究極のリラクゼーションと小顔に特化したサロン。サロンでは毎月、コルギのスクールやアロマの勉強会も行っている。
<HP>https://www.instagram.com/asami.kamino
Q1. 60歳の定年を前に、第二の人生は人に何かをしてあげられる仕事がしたい!と思うようになりました。60歳で未経験という大きな壁もありました。ですが、コルギサロンの経営や講師をしていた娘に相談すると、「お母さんならきっと出来る」と、後押しをもらえました。「親子で同じ仕事もいいなぁ」と思ったことが、セラピストになったキッカケです。
Q2. コロナ禍で練習相手をお願いすることが難しい時期でしたので、モデル探しが大変でした。またホームページや公式LINE、InstagramなどのSNSにも苦戦しました。年齢的にPCやスマホの操作が疎かったので、かなり努力しました。その後、努力の甲斐ありInstagramに於いては、フォロワー数が2000人にまでなり、サロンの集客にもつながっています。
Q3. 起業するにあたり簿記3級を習得したり、解剖学を学んだりしましたが、実務経験がなかったので、一度は他店でお勤めの経験があっても良かったかもしれないと思っています。
Q4. お客さまから「気持ちが良かった。肩や背中が楽になった、お顔がリフトアップされた、目がパッチリした」と喜びの声を頂く度に、セラピストになって良かったと思えます。人を癒し、綺麗にすることで、お客さまが元気になり、また私自身も元気になることができます。素人の60歳からの挑戦でしたが開業してセラピストになって本当に良かったです。
Mihoさん
「Grace LuLu」
サロンの特徴
心身の不調を改善へと導く整体とリンパケアを組み合わせたボディリンパドレナージュ&小顔フェイシャル。解剖生理学に基づき、独自の手法で筋肉やコリにアプローチし、心身を癒してくれる。
<HP>http://gracelulu.com/
Q1. 心と身体のバランスの大切さを強く感じたのは、約11年前、娘の難病治療時の闘病生活がキッカケでした。セラピストという仕事を知り、この職業を通じてお客さまの心と身体をトータル的にケアする“パートナーセラピスト”として、笑顔で元気に動ける健康な心身の人をたくさん増やしていける活動をしていきたいと思いました。
Q2. コロナの影響により、急遽、予定より早めに開業することになりました。HPやSNS、パンフレット制作や仕入れ、メニュー作り、価格決定、集客etc……全て一人で考えながら短期間で作っていく作業だったので、少し大変でした。
Q3. 郊外にある個人サロンだったので、開業するまでにもっと積極的に近隣住民の方とコミュニケーションを取り、地域とのつながりをしっかり深めておけば良かったと思いました。
Q4. 大手のサロンとは違い、お客さまおひとりお一人の心と身体にしっかりと向き合えることです。目の前にいるお客さまの心身の状態に合わせた施術プランをご提案できるので、時間の流れに囚われ過ぎることなくご提供できます。お客さまに安心して、しっかりとご満足いただける施術を受けていただけるので開業して良かったと思います。